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マーク・レイクマンのワン・ブロック・ツアー

マーク・レイクマンのワン・ブロック・ツアー

マーク・レイクマンはシティ・リペアの共同設立者として、
ポートランドのアーバンパーマカルチャーを推し進めてきた最重要人物の一人。
地域住民が求める「その地域のあり方」を表現する為なら、
それが法に触れる行為だとしてもやってしまう。
そんなスタンスで彼は地域住民と共に交差点にペイントの花を添え、
公共の場に憩いと休息のベンチを作りました。
すでに住民の賛同を得て、地域を活性化した活動に行政もNoと言えるほど野暮ではなく、
今ではポートランド中にその影響が広がっています。

今回のポートランド訪問の宿泊先の一つはそんなシティ・リペアのプロジェクトの一つ
プラネット・リペア・インスティチュートが運営するシェアハウスです。
もちろんただのシェアハウスではなく、これはアクションであり、
表現であり、デモンストレーションそのもの。
大きな生命体たる「近所」の活性化を掲げてきたこのプロジェクトの影響力を
このワン・ブロック・ツアーで目撃することとなりました。

太陽光や雨水などなど、この天然資源で溢れているのは田舎も都会も実は同じ。
パーマカルチャーの手法を使うことで、無駄を省き、
より効率的な循環を生み出すことができます。
プラネット・リペアでは、屋根に降り注いだ雨水は雨どいを伝って集められ、散水に使われたり、
バケツ型コンポストトイレを利用することで、貴重な資源を下水に直行することもなく、
歯磨きなどで利用した少ししか汚れていない水(グレーウォーター)は
シンクの下の水道管を切り離してバケツに直行させることで
もう一つのトイレ(こちらは水洗)の水を流すのに再利用される。

資源という時、人的資源の存在も忘れてはいけません。
地域住民それぞれのプロフェッションを活かし合うことで、
通常はお金を払って頼んでいた仕事を近所づきあいの中で完成させることができます。
大工さんに何かを作ってもらう代わりに夕食をご馳走するとか。

こんなライフスタイルがポートランドのような地方都市とは言え、住宅街のど真ん中で行われています。
(度々このメルマガでも取り上げているマット・ビボウ曰く「ポートランドと岡山市のサイズ感は似てる」)
都会では難しい、と言われる既成概念を覆す取り組み。
そんな実践がポートランド各地で起きているわけです。

そしてそんな取り組みの渦中たるプラネット・リペアの敷地内に建てられた
自然建築の家にマーク・レイクマン本人も住んでいる説得力の高さ。
それもお子さんが生まれたての3人家族で。
因みにバケツ型コンポストトイレを導入しているのはマークの家の方。

さてさて、イントロダクションが長くなってきたので、そろそろ本編へ。
ツアーの始まりはプラネット・リペアの庭先から始まりました。

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『マーク・レイクマンのワン・ブロック・ツアー』
お話:マーク・レイクマン
通訳:ソーヤー・海
編集;感覚と科学編集部

みんな調子はどうですか?

これからいろんな人たちが改造したこのブロックを一周するんだけど、
幾つかの事例を見ながら、どうやって都会を再生するか、
都会からの村づくりっていうのを紹介できたらいいなと思ってます。

みんなブロックスのホームステッド(※)を体験して来たばかりで、
あそこは聖書にあるような天国の世界みたいな場所だから、
そこから都会に来ると精神的にも大きなシフトがあったかもしれません。

 ※ブロックス・パーマカルチャー・ホームステッド
二週間のツアーの前半に6日間滞在したソーヤー海の原点たるパーマカルチャー農場。
シアトルからフェリーアクセスのあるオーカス島にて、たわわに実った果樹に囲まれ
パーマカルチャーの実践とその教育を行っている。
果物食べすぎ注意と言われても、自制できる人はなかなかいない。

僕も本当はブロックスのような所に住みたいって思ってるんだけど、
なんで都会に住んでるかっていうと、都会は権力、すなわち政治的、経済的パワーの中心地であって、
僕たちの生活や社会を取り巻く、搾取とか抑圧とか破壊っていうのは
この都会で権力ある人たちの決断によって行われることであるし、
やっぱり都会っていうのは今の時代、持続可能でない生き方の象徴、
震源地になっているので、そこを変えたくて都会に住むことを選んでいます。

僕たちがやろうとしていることはブロックスを都会に持って来るっていうこと。
困惑の構造、、、何が大事か不明確な都会の世界。
その中に生きることってなんなのか。本当に大事なものがなんなのか。
そして都会の可能性をみんなに伝えたくてこういう活動をしています。

これは意識のプロジェクトです。
僕たちのこの社会ってものすごく分断されている。
特にアメリカ社会の文脈だとドナルド・トランプとかもあって、
対立だとか分断がより鮮明に感じられるようになってきたんだけど、
その分断っていうのは人工的に作られた本当は無いもの、妄想にしか過ぎない。
僕たちの活動でやろうとしているのは、僕たち人間としての共通の立ち位置っていうか、
共通の価値観、存在を思い出させることです。

▼マークがアクティビズムの世界に入ったキッカケ

なんで僕がプラネット・リペア・インスティチュートとか
シティ・リペア全体の活動にずっと関わっているかっていうと、
昔は建築事務所で勤めていて、そこで数年間これは凄い良い仕事だと思ってやってきた。
でも気づいたら自分の会社が色々な汚染地帯を覆って
その上に人々が住んだり活動する場所を作っていた。
汚染物質を隠していたっていうことに関わっていたっていうことを知って、
「なんかこれは違う」と思って仕事を辞めました。

気づいたその日に辞めたんだけど、
選択に至る経緯っていうか、それを手伝っってくれたのが、
汚染物質を隠して誰にもバレないようにしたことを同僚たちが笑っていたこと。
「おーいい仕事したなー」みたいな感じで。
そこで気づいたのは、これは実はこの世界では当たり前のことだったって。

そのあと世界中を旅して先住民に会いに行った。
一つは先住民と友達になりたかったっていうのもあるけど、
先住民のところに行って「僕の何がおかしいのか」を教えてもらいたかった。
そしてどうしたら自分達のこの病める文化を治せるのかっていうこともね。
いろんなアドバイスとかアイデアを沢山もらってポートランドに帰ってきて、
どうやって問題の発生源となっている都会を変えていけるか、
再生していけるかっていう、そういうプロジェクトを始めました。
なのでシティ・リペアっていうのはすごく都会へのフォーカスを持った活動です。

言葉で説明できる部分は限られてるんだけど、一つ大きな気づきは、
先住民のように「答え」を持っている人たちは「大地に根ざして暮らしている人たち」で、
大きな政府とか行政のような機関に管理されている人ではなく、
大地に生かされている人たちっていうのが凄い大きい。

あとはまだ多世代に及んで一緒に暮らしていて、
その世代間の関係性が崩れていないからおじいさんと孫が一緒にいれる環境。

もう一つ気づいた大きなことは、お父さんが子育てをしていること。
お父さんが子育てをしてると、全然違う男が育まれるんだよね。
アメリカ社会の特に白人男性の正常でない生き方、在り方っていうのは、
子育てをしないから子供や家族から分離されてしまった存在というところに
ものすごいいろんな問題が、その人の中にも生まれるし、子供の中にも生まれるし、
そして社会全体にその問題が広まってしまう。

なので、どうやってその分離した要素、
お父さんがちゃんと子供と一緒にいたり、
周りのコミュニティが共に子育てとかを一緒にできるような状況を
いかにして再生するかっていうのが一つの大きなミッションです。

ブロックスのパーマカルチャーはいろんな植物の関係性を組み合わせて、
ものすごい豊かな世界を繰り広げているよね。
もちろんその植物と人間の関係性もあって、それは学びにもなるし、
食料にもなるし、衣料にもなる。
ブロックスはそういう関係性のデザインを極めている場所だけど、
こういう都会に来るとああいった広大なスペースっは殆どの人にとっては非現実的。
でもここでやってるアーバンパーマカルチャーっていうのは人を上手に繋げて、
そこからどうやって豊かさを生んでいくかっていうことなんです。

▼Yes, we got a power!

パーマカルチャー実践者たちの中にも『僕達に何ができるんだ?』っていう問いがある。
都会に住んでいる人たちはこういうメッセージを刷り込まれてるんだよね。
「お前らにはパワーがない」「何もできない」「しょうがない」って。
でも僕は実際みんながパワーを持っていることを知っている。
だから色んな矛盾の中、パラドックスの中で僕たちは暮らしているけど、
やっぱりそれに気づくことだよね。

もう一つは僕たちは別々の存在、分離された存在であって
自分の価値を見出すには、その隣の人よりどれだけ優っているかを
アピールするよう教えられてきた。だから常に競争関係にあるんだよ。
でも本来は協力しあって、分離していなくて、
お互いを影響しあってることもどこかで分かってる。
だからそれに気づくだけでパワーが出てきて、宇宙のエネルギーをもらえるんだよ。

それらのパラドックスに気づくと最終的に見えてくるのは、
結局みんな助けを求めているっていうこと。
だから取り敢えず助けたいっていう気持ちから何かをやってみる。
スピリチュアルな原則というか、フィードバックの循環を作ると、
例えば誰かを助けると、世界や宇宙が何らかの形でそれを豊かさの方へ循環させていく。
そういう仕組みになっていると思っている。
特に何も期待せず、出来ることをやっていくことで豊かさがどんどん増えていく。

社会変革の話をすると、根元レベルでどうやって物事を変えるかっていうと、
巨大な何億円も使うようなでっかいパーマカルチャープロジェクトっていうのは
僕らにとっては結構小さな活動に見えるんだよね。
表面上のお金はすごい動いてるんだけど社会のシフトはあまりない。
ここでやってる活動はシステムの中の行為そのものを変えていくこと。
自分達がどういう暮らしをするかっていう方が一般の人達にとっては寄り添いやすい。
自分の暮らしに近いからわかりやすいよね。
そういう形で自分たちの暮らしを変えることによって
大きな社会変革をもたらすことができるんだよ。

続きは10月5日発行のメルマガにて
http://www.mag2.com/m/0001679333.html