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「シティリペアの生い立ち」 by マーク・レイクマン

「シティリペアの生い立ち」 by マーク・レイクマン

今、アメリカで最も住みたい町とも呼ばれ、
日本でもその市民主導、地域主導で行政を動かして行く町づくりが
各所でも取り入れられてブームになっているオレゴン州のポートランド。

本メルマガ8号のポートランド住宅街のワン・ブロック・ツアーで紹介した、
ポートランド変革のキーパーソン、シティ・リペアのマーク・レイクマンが、
三宅と編集部が参加した西海岸のパーマカルチャーツアー参加者のみに
特別に行ってくれたプレゼンテーションを全文書き起こしてここに掲載!

プレゼンテーションが行われたのはツアー一行が滞在していた、
シティリペアが運営するシェアハウス「プラネットリペア」

ここでは屋根に降り注いだ雨水は雨どいを伝って集められて散水に使われたり、
バケツ型コンポストトイレを利用して、貴重な資源を下水に捨てずに堆肥化したり、
歯磨きなどで利用した少ししか汚れていない水(グレーウォーター)は
シンクの下の水道管を切り離してバケツに貯めることで
もう一つのトイレ(こちらは水洗)の水を流すのに再利用されている。

さらに建物はストローベイル(藁のブロック)にて断熱し、
壁の土壁によりおしゃれにデコレーションを施され、
庭には色とりどりの野菜が植わっている。

突如現れたこの不思議な家の影響を周りが受けないはずはなく、
このプラネットリペアの周囲の街区のワンブロックを中心に、
近隣では庭に食べられる植物を植え、街路樹に果樹を植え、
交差点にはコミュニティのためのお茶スペースや図書館が配備された。

一つの家から一つのブロックへ。
そしてその影響はポートランド中にジワリジワリと波及して行く。

ポートランドにはそんなラディカルながらアイデアとユーモアに溢れた仕掛けが、
街のいたるところに存在している。
そしてその草分けにシティリペアという団体の存在がある。

シティリペアの共同設立者であるマーク・レイクマンが、
団体がどのように出来て、成長を遂げてきたかについて、
通訳を挟んでたっぷり2時間以上も私たちに語ってくれた

*****

「シティリペアの生い立ち」
話:マーク・レイクマン
通訳:ソーヤー・海
編集:感覚と科学編集部

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シティ・リペアの生い立ちについてお話しします。

社会変革について考える時、それがどれだけ大変な道かって思うこともあります。
でも実際にその社会変革に携わっていると、同じ思いを持つ人と出会うようになり、
そこから愛が芽生えたりもしました。
本当に美しい人たちとたくさん出会い、仲間も増えて、
さらには次の世代を担う人達も生まれてきています。

▼一般化する広い行動半径を東奔西走する繋がりの薄いライフスタイル

今日の朝の散歩の時(感覚と科学8号収録のワン・ブロック・ツアー)
も侵略主義とか父系社会のデザインと機能について話したよね。
そのグリッド化された世界の中で一般の人がどういう風に生活しているかを分析すると、
家族を持った一般的な女性では、買い物に行ったり、子供を学校に連れて行ったり、
病院に連れて行ったり、友達に会ったり、自分の仕事場に行ったりと、
彼女が必要としている場所っていうのは、常に家の近くではないところ。
ずっと必要なところに移動し続ける、行動半径の広い生き方になっています。

その近所の人たちも同じ行動を取っています。
遠くに必要なものを取りに行っているばかりで、
お互いの近所の人と接することは出来ていない。

アメリカの教育や経験を通して育ってきたから、
彼らは普通にそういう生活をしているんだけど、
彼らは人が集う場所がないっていうことに気づかない。

集う場所が無いからお互いとの関係性を育むことができない。
それで彼らはお金を必要とすることになる。
なぜかっていうと関係性がない人たちと接しているから、
サービスや物を必要とするときにお金でやり取りするしかない。
身の回りの人との関係性が希薄だから、
どうしてもお金が介在するようになってしまう。

これは国策のようにも思える。
貨幣経済が私たちを管理するシステムにすることによって、
一人一人がしっかりお金を作ってしっかり消費をして、
アメリカの経済が他の世界の経済より強くて大きなものになるっていうね。

こういう持続可能とはとても言えない事態にいるときこそ、
違ったことを提案するリーダーを探すことが大事になる。
アーバンプランニングに関わっている
ポートランド州立大学のカール・アボットが言ったのは、
「都市設計の目的っていうのはコミュニケーションを育むこと」
それは僕の言葉で言うと「人が集う場所を作る」っていうことです。

不思議なのはこういうことってアメリカだとお金を払って学ぶこと。
でも他の文化では生まれつきそういう世界に生まれてるからそれが当たり前。
集う場所が当たり前にあるんです。

▼ローカルで暮らすということ

シティリペアの戦略としては遠くに行かずに、
自分が住んでいる地域で生業ができて、生活ができる仕組みを作っていくこと。
いろんな近所にいる人たちと関係性を育んでいって、
より主体的に自分が本当にやりたいことをやり始める。
それは自分のためにも行動するし、自分の周りの大事にしている人達のためにも行動するようになるということ。

これがどういう意味かっていうのはとても大きなことで、
やっぱりローカルで暮らすことの大切さ。
ポートランドでも実際にうまくいっているし
世界中を見てもローカルで暮らすことによって
より豊かな生活やコミュニティ作りができるという事例がいっぱいある。

例を挙げると、あるシングルマザーが実はいろんな技術を持っていて、
彼女の周りに住んでいる人たちは彼女の技術を必要としている。
同時に、彼女も身の回りにいる人の技術を必要としているというシンプルな概念から生まれています。

一人の女性がいろんな所に移動しながら、
自分のしないといけないことをやるっていう孤立した存在ではなくて、
コミュニティーの中の共同体の一員として暮らしていると、それだけで自然に豊かになる。
そして、やっぱり仕事っていうのはただ何か生産物を作って売るだけじゃない。
その仕事の日だってちゃんと歌う時間とか、自由に自分がやりたいことをやる時間とか、
子供と過ごす時間を作れること。それってすごく大事。それも仕事の一部。
そういう世界で生きていると、ただ物を作るという世界じゃなくて、文化作りの世界に入っていく。

▼シティリペアのコンセプト

コロニアルグリッド、侵略主義のグリッド型の都市設計、
こういう私たちの場を塗りつぶしてきたこのグリッドに
また私たちの場を再生するのがコンセプトです。
システムデザインを勉強した人はわかるかもしれないけど、
これがシステムを究極的に変革する技であると思っています。

土の下っていうのは菌糸体のものすごいインフラがあります。
菌糸はただ真っ直ぐ伸びて個々で広がっていくものではなくて、
根っこみたいな感じなんだけど、でも実はいろんなところで交差している。
その交差するところが情報とか知恵の交差点みたいなところなんです。

例えば菌糸がいろんな養分を遠くまで送ったりするんだけど、
そういう菌糸の交差点で、一番必要なところを判断しては、
「やっぱりそっちじゃなくてこっちだ」っていう情報を交換し合って、
今度は養分を違う方向に送ったりする。

そうやって森の生態系が健康になって必要なところに必要な資源が動くような
生きたシステムが存在するんだけど、
同じように、菌糸体のような交差点を私たちの街に作ることによって
必要なものが必要なところに行くようにすることができます。

今まで交流しなかった人たちが交流するようになると、
そこに今までになかった生産的で創造力溢れる空間ができます。
その結果、今までになかった可能性が爆発的に生まれてきて、
予測不可能なものが生まれ得る空間になる。

もともと違法行為だった最初の交差点プロジェクトを成功させ、
後に合法になって行政が交差点リペアを進める為の枠組みを作った時、
市長が私たちをオフィスに呼んで、これが起こることによって
どういうインパクトを街に与えると想定しているかを聞かれました。

その時、ポートランドの各地域ごと(日本でいう町内会サイズ)
にステッカーを貼った地図を見せてこう言いました、
「わからない。でも各地域にこういう空間が必要だってことは確か。
大切なのはその人たちが何を求めているかがポイントだから、
私たちにはわからない。その人たち次第だ」って答えたら、
市長も「そうか。じゃあ様子を見ようか」って言ってくれた。
それは市長との特別な瞬間だった。新しい冒険に乗り出すためのね。

▼ストーリーを世界に語り繋ぐ

でも私たちの秘密の計画だけは市長に見せなかった。
それが「地球平和のための聖なるナプキン」です。

(スライドに映しだされたのは飲食店の紙ナプキン。
地球上の陸地が点と線で繋がったイラストが描かれている。)

これはシティリペアが始まった出だしの時にコーヒーショップで描かれたものです。
もっと大きなヴィジョンについてちょっとでも時間をとって話せないか、
世界平和についての話をしようよって言ってた人たちがいたんだけど、
そんなの絶対無理だし世界なんて変えられないっていう人たちもいた。
でも、まあ30分位話そうよってことで、
そのコーヒーショップで話してた時に生まれたヴィジョンがこのナプキンです。

政治システムであれ、ある種の見えない構造やインフラであれ、
多くの人や地域が抑圧的な構造に支配されてしまっている。
私たちがやりたいのはポートランドを変えて、その成功談を世界に広げて行くこと。
やっぱり私たちが出来ることで最もパワフルなのは、
ストーリーを広めるということ。新しいストーリーを。
どんな経済システムより、どんな軍事力よりパワフルなもの。
それがストーリー。物語。

ポートランドを変えられたんだよっていうストーリーを広げられれば、
その話を聞いた人がじゃあ僕たちも自分たちの街を変えようっていう、
そういう動きになるに違いないっていうのがこの世界平和のヴィジョンです。

…………..(これはまだほんの始めの方、ここから壮大なストーリーが続きます。
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