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NAU放射線測定レポート「千葉県松戸市の公園3箇所」(前編) 2016.12.25

NAU放射線測定レポート「千葉県松戸市の公園3箇所」(前編) 2016.12.25

クリスマスにNAU一行が向かったのは・・・

2016年12月25日、世間はクリスマス一色。曇り空の下を、三宅洋平を含むNAUメンバーは都内事務所より千葉県松戸市に向けてレンタカーを走らせました。1時間半後に到着したのは、パーティ会場ではなく、閑静な住宅街に広がる「常盤平公園」(松戸市常盤平松葉町)。

野球少年たちの賑やかな声が響いていて、一見、何の変哲もない平和な公園です。しかし2ヶ月前の10月10日、この公園に除染基準を大きく上回る空間線量0.73μSv/h(地表ではなんと1.92μSv/h)というホットスポットが発見されました。

2年間で200箇所の公園を測定したチーム「GWS」

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GWS測定会@常盤平公園 2016年10月10日の様子

この測定を行ったのはGWS(Gamma Watch Squad)の皆さん。GWSはラッパーで松戸市議のDELIさんが立ち上げ、市内約400箇所の公園全ての土壌測定の実施を公約。開始2年間で過半数となる200箇所以上を測定し、丁寧にGoogle Map上に数値をプロットして情報公開。測定には、その公園を普段利用している地元住民の方も参加されています。
http://www.planetrock.jp/gws

以下はGWS提供の常盤平公園の放射線マップ(2016年10月10日)。赤いポイントが除染基準(空間線量0.23μSv/h)を超えた場所です。発見直後にDELI議員が市に呼びかけ、該当エリアを立入り禁止に。今後の除染にも立ち会うとのことです。

※水色→黄色→赤色の順に線量が高くなります。茶色の丸は土壌測定ポイント。クリックすると各ポイントの数値が確認できます。

GWSは空間線量だけでなく重点ポイントの土壌測定も同時に行っています。常盤平公園のユーカリ下では5830Bq/kgという高度な土壌汚染が検出されました。

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常盤平公園の空間線量および土壌測定結果(GWS提供)

GWSはこのようにホットスポットを発見しては市に除染依頼をかけ、子どもたちが安心して遊べる公園作りに取り組んでいます。福島の原発事故から間もなく6年が経過しようとしている現在も、首都圏に立ち入り禁止レベルの放射能汚染ホットスポットが点在していることを私たちは真正面から受け止める必要があります。

NAU、測りまくる日本に向けてアクション開始

兼ねてから「測りまくる日本」を提唱していた三宅洋平は、NAUメンバーと共に放射線測定に乗り出すことを決意。「誰もが身近な公園や、学校、農地などを測定できるように」なることを願って、まずはNAUで取り組んでみてその過程をレポートすることにしました。
hakarimakuru20161225member測定ノウハウの無いNAUは、まずGWSの測定会に参加させてもらうことに。DELIさんの図らいで、市民測定所を営む方や、自身で測定プロジェクトを展開するベテラン陣にも協力を頂き、最高のバックアップ体制で測定に臨むことができました。この日はまず高濃度な汚染が発見された常盤平公園に集合し、立入禁止の現場を確認。ロープで区切られた空間に、何かを感じることは出来ません。改めて「放射能は目に見えない」という怖さを実感しました。

<今回の測定箇所>
・あおぎり公園
・あかしあ公園
・川向公園
(いずれも松戸市新松戸7丁目)

dsc01597

測定会の様子はツイキャスでも中継しました。

・常盤平公園
http://twitcasting.tv/nauofficial/movie/333212981
・あおぎり公園
http://twitcasting.tv/nauofficial/movie/333218495
・あかしあ公園
http://twitcasting.tv/nauofficial/movie/333226009
・川向公園
http://twitcasting.tv/nauofficial/movie/333232344

測定ってどうやってやるの?

まず、放射線測定の基本の「き」だけ簡単に述べておきたいと思います。

<放射線、放射能、放射性物質>
「放射線」を出す能力のことを「放射能」と呼び、その能力を持った物質を「放射性物質」と呼びます。放射線には大きく分けて「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」「中性子線」などがあり、それぞれ性質が異なります。放射性物質は自然界にも存在しています。

<ベクレル、シーベルト>
ベクレル(Bq)は放射能の強さ(1秒あたり何回放射線を出すか)を表す単位、シーベルト(Sv)は放射線によってどれだけ人体が影響を受けるかを表す単位です。

・例1「土壌の放射能が◯◯Bq/kg」・・・土壌1キログラムあたり◯◯ベクレルの強さ
・例2「地表50cmの空間線量が◯◯μSv/h」・・・地表50cmの位置で1時間あたり◯◯マイクロシーベルトの放射線を受ける

<測定方法>
測定には色々な方法がありますが、今回のレポートでは2種類を実施しました。

  1. 空間線量の測定
    ガイガーカウンターやホットスポット・ファインダー(HSF)などの機器を用いて、公園内を歩き回りながら空間線量を測定します。
  2. 土壌ベクレルの測定
    放射性物質が蓄積されやすい側溝や、盛り土、ブランコ下、鉄棒下などの重点ポイントの土壌を採取し、市民測定所に土壌ベクレルの測定を依頼します。

<土壌採取の許可申請について>
本測定において、土壌採取は市の許可を得て行っています。無断で採取すると罰せられることもあるのでご注意ください。NAUでは今後、この申請方法についても可視化していきたいと考えています。

<ホットスポット・ファインダー(HSF)とは?>
今回の測定をするにあたり、NAUはホットスポット・ファインダーという高額な機材を導入しました。空間線量の測定機と、GPS機能付きのタブレットが連動します。ホットスポット・ファインダーを持って公園内を歩くだけで、どの位置がどれだけの線量だったかを秒単位で記録。そのデータは後でGoogle Map等の地図上にプロットすることができます。

環境省も実証試験報告書を提出しているお墨付きの機器で、自治体等でも導入されています。こどもみらい測定所さんの解説がとっても分かりやすいのでぜひご覧ください。

第一測定場所「あおぎり公園」

dsc01622第一ポイント「あおぎり公園」の測定を開始。dsc01615GWSの皆さんは事前に公園のマップを用意しておき、ホットスポット・ファインダーを持ってどのように公園を歩くか、またどのポイントの土壌を採取するか目星を付けておくそうです。dsc01620早速、NAUのホットスポット・ファインダー部隊が行動開始。前を行く小さなバッグが測定器、後ろを行くタブレットで数値がリアルタイムに表示され、測定結果を位置情報と連動させていきます。ホットスポット・ファインダーの目的はその名の通り「ホットスポットを探すこと」です。公園全体をスピーディに歩き回り、公園内のどの箇所の線量が高いかを見つけ出します。

今回は地表50cmくらいを測定しようと決めて、バッグを持つ高さを一定に保ちました。この「地表からの高さ」はとても重要。国の除染基準として「地表1mで0.23μSv/h」という値が基本的に使われますが、例えば公園であれば汚染された土に近ければ近いほど放射線量は高くなります。子供や、動物は、人間の大人よりもずっと低い位置を歩き回るのだから、できるだけ地面に近い位置の線量を測定すべきでしょう。dsc01624ブランコ下に雨水が溜まっている場所がありました。こういう水の溜まりやすいポイントは汚染度が高い傾向にあるそうです。dsc01626GWSチームが砂場の土壌採取を開始。スコップで丁寧に掘ります。dsc01630薄手のゴム手袋、高気密マスクをし、土埃を吸い込まないように注意します。風の強い日はゴーグルなども併用し、目にも入らないようガード。dsc01633土壌を採取したら、その箇所をマップ上に記入し、番号を一致させたシールを採取した土の袋にも貼っておきます。dsc01636DELIさんの測定は本当にスムーズ。ホットスポット・ファインダーを持ち、公園を無駄なくスピーディに歩き回ります。サポートするメンバーはハンディ測定器を棒の先に取り付け、線量の高いところを中心に精度の高い測定を進めていきます。dsc01638NAUのホットスポット・ファインダー部隊も公園の隅から隅まで歩き回ります。この辺りを歩き始めたところ、グンと数値が高くなりました。そして公園内がザワザワし始めます・・・。dsc01652断続的に鳴っていたピー・ピー・ピーという電子音が鳴り止まなくなり、メンバーが公園の端に集まってきました。ホットスポット、発見です。dsc01651この測定器が示す値は、地表に直置きで1.32μSv/h。dsc0166710台以上の測定器が集まり、電子音がけたたましく鳴る。見えない放射性物質が、音と数字に姿を変えて、なんとも言えない不気味な空気を作り出します。dsc01655測定器ごとに特性があり、誤差もあると事前に聞いていましたが、こうやって並べると一目瞭然。dsc01671高濃度だと予測される土壌を、慎重に採取。dsc01673採取した土に番号を割り振って、あおぎり公園の測定を終了しました。

以下マップはGWS提供のあおぎり公園の空間線量をプロットしたもの。発見されたホットスポットは地表50cmで最大0.37μSv/h、除染基準を上回る線量だったため、DELIさんは測定後すぐに市に除染依頼を申請しました。

初の測定で、1.5μSv/hを超える箇所をいきなり見つけてしまったNAU。原発事故から間もなく6年、遙か200kmも離れたこの場所に、ひっそりとホットスポットが存在する。その事実を目の前にし、ただ、ただ、衝撃を受けました。

後日測定結果が出た、土壌の汚染状況が上記マップの茶色の丸で示されています。最も低かった砂場「土壌1」は20.1Bq/kgでしたが、先ほどの問題箇所、南東端にある「土壌4」はなんと15600Bq/kg。同じ公園内で700倍以上の差がありました。

公園の端、木陰に潜む汚染。かくれんぼする小さな子供、地面を嗅ぎ回りながらお散歩する犬・・・一番の被害者は彼らです。平均値や、公園の中央だけを測定するような方法では、見えない危険は残ったまま。形式だけの測定ではなく、本当に意味のある測定をするにはどうすべきか。

測りまくるNAU in 松戸、後編に続きます!