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NAU放射線測定レポート「葛飾区金町」(前編) 2017.02.12

NAU放射線測定レポート「葛飾区金町」(前編) 2017.02.12

都内でもホットスポットが点在しているという葛飾区金町。江戸川を挟んでお隣は前回測定した千葉県松戸市、北に向かって水元公園を超えると埼玉県三郷市に。この周辺は放射能汚染を強く受けました。

震災後からこのエリアを丹念に測定してきたSugar Natさん(前回の松戸測定会にもご参加)より「ホットスポットファインダーでの空間線量測定に協力して欲しい」と依頼を受け、NAUメンバーを数名募って金町へ。途中「こういうところに放射性物質が溜まりやすい」という場所を教えて頂きながら、1日がかりで駅周辺を歩いて周りました。

NAUの考える「放射能との向き合い方」

まだまだ僕らも分からないことだらけ。「放射線をただ怖がるのではなく、何もなかったかのように無視するのでもなく、自らの手で測定して、自らの生活圏の実態を知ること」が大事だと思います。

そして「誰もが身近な公園や、学校、農地などを測定できるように」していきたい。

そんな目標を掲げて、学びながら測定してます。この記事をご覧の皆さんも、ぜひ一緒に学びながら、少しずつでも実践に移していただければ嬉しいです。

NAU放射線測定プロジェクト「測りまくる日本」の過去投稿はこちら

葛飾区金町の放射線マップ

以下はホットスポット・ファインダーを用いて測定した空間線量マップです。

※NAUは子供やペットの生活空間を考慮して、地表50cmでの空間線量を測定しています。また、高線量を示した場所や特徴的な場所では、地表50cmまたは直置きでの平均値を取得し、画面キャプチャをマップ上に掲載してあります。

※GPSの誤差によって実際の計測箇所とマップ上の位置に多少の差異が発生することがあります。

hsfmap

金町駅前から測定開始

DSC02120朝9:30。冷たい風の吹く、JR金町駅の南口。
DSC02122早速駅前でホットスポット・ファインダー(HSF)起動。センサーとGPSとタブレットが連動し、1秒間隔で空間線量を測定し、地図データに数字を落とし込んでくれる大変便利なツールです。DSC02125今回もホットスポット・ファインダーと合わせて複数のハンディ測定器を併用。こちらは日本製の空間線量計DC-100。駅前のフェンスで区切られた空間に近づいてみたところ0.09μSV/h (地表1m)と早速高めな数値。都市部は建材等からの自然放射線の影響が大きめなので実態を確かめるにはもう少し詳細な測定が必要ですが、それにしても安定して高い。

今回の依頼主Sugar Natさんはまさに「測りまくる」を体現されている方で、どんなところに放射性物質が溜まりやすいかを熟知しています。駅前の雨どい下でちょっとしたクイズが出されました。「どこが線量高いと思います?」DSC02128水溶性(水に溶けやすい)のセシウムは雨水となって降り注ぎました。「もちろん雨どいの真下だろう!」と思って皆で測定器をあててみたところ、ハズレ。

正解はそこから少し離れた窪み。上の写真で測定器が当てられている位置です。ぐんぐんと数値が上がっていきます。雨どいから流れた水が一番溜まりやすいところを地形から想像するのだそうです。DSC0212920170212_095856ホットスポット・ファインダーで測定したところ平均値は0.635μSV/h (直置き)でした。

金町五丁目の公園を測定

DSC02135金町五丁目にある公園、松戸の時の要領で敷地内をぐるりと歩いて測定を実施。DSC02137こうやって端を歩いてみると、0.1μSv/h (地表50cm)を超える場所が点々と。DSC02147公園内で最も高かったのは、この樹のふもとでした。DSC02142線量計PM1703MO-1で0.29μSv/h (直置き)を示す箇所を発見。この近辺が高そうです。

※こちらのポリマスター社製の線量計は福島の自治体でも多数導入されている高機能なモデルだそうです。振動と音とランプで高線量を知らせてくれます。20170212_103910ホットスポット・ファインダーでは平均値 0.428μSv/h (直置き)でした。

金町五丁目団地近くの街路樹の足元を測定

ホットスポット・ファインダーで線量の上下を見ながら歩き、反応を示した近辺をハンディ測定器を併用しながら丁寧に測定していく。水の溜まりやすそうな場所、除染が見落とされていそうな場所を探していきます。DSC02154大きな値を示したのはこちら。樹のふもと、中でも道路側が局所的に高い数値を示しました。20170212_111323DSC02152平均値が地表50cmで0.213μSv/h、直置きでは0.923μSv/hでした。DSC02162写真奥の通路が手前の樹に向かって緩やかに傾斜しているのですが、Sugar Natさんの予測では「この傾斜を伝って雨が樹のふもとに溜まりやすいのかもしれない」とのこと。なるほど・・・

地形、特に傾斜に目をつけると放射性物質が濃縮している場所が見えてくる。自然と傾斜を探しながら町を歩くようになります。まるでブラタモリ

郵便局前、国道沿いの植込みを測定

DSC02177国道6号線沿い、葛飾新宿郵便局前の植込みにもホットスポットがありました。写真ではちょっと分かりにくいですが、郵便局の入り口上に雨どいが設置されていました。そこを通じて流れた雨で植込みに溜まってしまったのではないかと推測されます。DSC02168PM1703MO-1は今回初の1.0超え、1.36μSv/h (直置き)を示しました。
DSC02172電信柱と樹の間で線量が上昇するのでそこをホットスポット・ファインダーで測定。20170212_114223地表50cmの平均値が0.380μSv/h20170212_114256直置きでの平均値は1.133μSv/hでした。

後編へ続く

DSC02182お隣町の松戸の測定に引き続き、今回もいくつかのホットスポットを目にしたNAUメンバー。後編ではJR金町駅の北口エリアを中心に測定を行います。

NAU放射線測定プロジェクト「測りまくる日本」の過去投稿はこちら

補足:葛飾区の除染基準および除染進捗について

この日、確認したホットスポットは、すでにSugar Natさんが葛飾区に除染申請を出しています。しかし結果は芳しくなく、事実としていまだに高い線量を保っています。

葛飾区独自の除染基準は「地上1センチメートルで毎時1マイクロシーベルト(1μSv/h)」です。(平成28年4月時点)
葛飾区の放射線対策についてはこちら

前編に出てきた測定箇所で言えば「金町五丁目団地付近の街路樹のふもと」で測定した0.923μSv/h (直置き)はギリギリ基準内のため除染対象になりません。それでも高かったため、清掃対応はして頂いたそうですが、依然高い数値を保ったままです。

また「郵便局前、国道沿いの植込み」で測定した1.133μSv/h (直置き)は除染対象かと思いきや、「国道沿いは国土交通省管轄なので対象外」とのこと。仕方ないので国土交通省に申請をしてみると、そちらでは基準外で断られてしまいます。国土交通省の東京国道事務所は文部科学省基準である「地表1mにおいて周囲の空間線量より1μSv/h以上高い箇所」を採用しました。(ちなみにSugar Natさんが申請するまで、東京都の国道の除染申請は一度も無かったそうです。)

公の場所に思われた駅前の雨どい下も「JRもしくは京成電鉄の所有地だと思われるので除染は不可」と、区では対応できず断られているとのこと。同様に、あらゆる私有地の除染は区の管轄外です。街中には子供が遊びそうな駐車場などがありましたが、そういう場所こそ区の除染が届かない隠れたホットスポットになっている可能性がある。

「どんなところに放射性物質が溜まりやすいか。」を考えると同時に「どんなところが除染の対象外になりやすいか。」も一緒に考えていただけるとより一層被ばくの被害を抑えることができるかと思います。

お知らせ「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト報告会」3.26(日)

「測りまくる」においての大先輩、石丸偉丈さん運営の「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」主催で3月26日(日)にイベントが開催されるそうです。NAUスタッフも数名参加させていただきます。soil_project同プロジェクトは「市民の力で、東日本の放射能による土壌汚染をベクレル測定して、広範囲に明らかにし、記録する。」を目標に17都道府県を対象に、3年がかりで土壌汚染を測定していくもの。既に4000人の方が測定に参加され、今回のイベントはその報告会として企画されています。ぜひチェックしてみてください!

facebook イベントページはこちら

Sugar Natさんや松戸のGWSの皆さんはじめ、既に日本各地に「測りまくる」を実践している方々がたくさんいらっしゃいます。学べば学ぶほどに、先陣をきって動かれている方々のご苦労が身に染みます。うまく連携をとりつつ、NAUだから出来る「測りまくる」を実践できればと考える次第です。