
2016年夏の参院選、東京選挙区で旋風を巻き起こした山本太郎×三宅洋平コンビが、今度は「憲法」を語る!9月9日から3日間、東京・名古屋・大阪にて、政治家、有識者や、各界のアーティストなど豪華ゲストをお呼びしながら、音楽と共に憲法を学んだ「憲法フェス」登壇者のトークを書き起こしました。
2016年9月9日 憲法フェス 東京 第一部 街頭演説 Part1
【山本太郎】
「夏休みの小学生みたいな格好してるな」っていうツッコミは、もう心の中だけにしといて下さい。生活の党と山本太郎となかまたち(※2016年9月当時)共同代表、山本太郎と申します。よろしくお願いします。
三宅洋平、先ほどマイクを握っていた人間ですけれども、ミュージシャン。彼が気概を持って、「山本太郎を国会に一人にしておけない」ということで、立候補してくれたんですね。で、残念なことに25万票の得票を得た、でもそれは当選ライン越せなかった。半分足りなかったんですね。
まあ三宅洋平という人間にも賛否両論がある。「いつまでやってんだ三宅洋平と」そんなことも支持者から私も言われる。で、私の後援会もありますけれども、大口の後援者が、「三宅洋平とやるんだったら抜ける」ということで、先日抜けられました。
でも、考えてみて頂きたい、「やりたい事はなんだ?」って。「政治を通してこの世の中を変えたいんだ」ってことですよね?
だとしたら、完璧な人間なんていない、足りないものをみんなで補いながら、そして『政治』という少しハードルの高いところに、手を挙げるって勇気いりますよ、そこに飛び込んできてくれた人間を、みんなで支えあって、本当に政治家らしい、良い政治家に育てていこうというような感覚が必要なんじゃないかなっていう風に思ってます。
だから、ここ新宿西口をお借りして『憲法フェス』というものを、三宅洋平と参議院議員山本太郎、その他たくさんの方々の力をお借りして、開催することになりましたけれども。
まずは今、目の前にある危機。とんでもない法改正、一番大きな法律を変えられた後、むちゃくちゃにされてしまう可能性がある。それを、ひとりでも多くの方々と共有しないことには、これ、止められないんですね。
ひとりでも多くの仲間を増やさないと、この暴走は止められない。だからこそ、「憲法ってなんなんだ?」っていうことを、みんなで共有していく場が必要だと、この三宅洋平の呼びかけに対して、どうして断れますか?
言うとおりだって。選挙ではない、選挙ではないときだからこそ、みんなでそれを広げていって、この先の日本をどうしていきたいのかって事を、ひとりひとりが、考える。そんなきっかけになりますってまた手を挙げてくれた。そんな三宅洋平に感謝したいと思います。冒頭の挨拶が長くなって申し訳ございません。
憲法って何なんですか? なんとなくわかってるようで、なんとなく知らない。それが憲法かもしれない。
ちょっと皆さんにお伺いしたいんですよ、憲法とはなにか? 「私、俺はよく知ってる」って方は手を上げてくださいますか? 通りがかりの方でも結構です。
ほとんど手が上がらない。そりゃそうですよ、学校時代を思い出してほしいんです。山本太郎は高校1年生、2回やりました。それでもう学校教育は終えました。その間でも、この憲法について詳しく教えてもらった記憶がない。もちろん勉強してなかったって事もある。
でも、公民であったり社会科であったりっていうのは好きな科目だったんで意外と注目してたんですけれども、記憶の中に、この憲法であったり、国の在り方であったりっていうことを、叩き込まれたというほど勉強した、勉強させられた記憶がないんですよね。
皆さんにお伺いしたい、「俺は憲法をよく知ってる上に、人にも教えるぐらい憲法に対して知識がある」って方、どれぐらいいらっしゃいますか?
ありがとうございます、ご通行中の方が1人手を上げられました。ほとんどいらっしゃらない。
じゃあ、こういう方向性からみてみますか? 今、憲法が変えられようとしている、憲法改正されそうになっているという事実をご存知の方、どれぐらいいらっしゃいますか?
多く手が上がりました。
じゃあ、先の参議院選挙、今年の7月にありました。その参議院選挙で、憲法を改正したいという事をメインのテーマで話さずに、憲法改正は隠しておきながら、そして選挙に勝った後、参議院・衆議院ともに、憲法を変えたいという勢力が3分の2議席以上、衆議院・参議院で占めたという事実をご存知の方どれぐらいいらっしゃいますか?
ありがとうございます。これ大問題ですよ、だって憲法について何なのか? その中身、憲法の持つ意味あい、それをほとんど多くの方々が知らない中で、憲法というものが変えられてしまうって、これかなり危なく感じません?
せめてその中身を知って、みんなで議論についていくっていうことが最低限必要だと思うんです。

Photo by 伊藤愛輔
で、次は違った質問をしたいと思います。今からこの20分間を使い、皆さんと少しでも憲法について知れるような時間を作れたらいいなと、参議院議員山本太郎は考えています。
で、皆さんに質問です。皆さんは信号が赤になったら、歩行者信号、それだけじゃない、自動車用の信号、赤になったら止まる、青になったら進む、これ当然ですよね? どうして赤で止まりますか? どうして青で進みますか? これルールだからですよね? 法律なんですよ。皆さんは法律を守って、赤信号は止まり、青信号は進む。ルールを守っている。
皆さんにもう1つお聞きしたい。現在消費税は8%。消費税8%賛成の方どれぐらいいらっしゃいますか?
数名いらっしゃいます。で、今、手が上がらなかった方々は、消費税8%に対して懐疑的。「ちょっと高すぎんじゃないの?」いろんな思いがあると思います。
でも、いくら消費税に対して嫌な思いがあったり、反対の気持ちがあったとしても、消費税8%は絶対にお買い物の際に支払わなきゃいけないんですよね? 問答無用ですよ、これ。どうしてですか? ルールだからです。法律で決められてるからです。
じゃあ例えば『キオスク』駅にあるキオスク、目の前に置かれてる新聞、雑誌、お金を払わずに持っていったら捕まりますよね? どうしてですか? ルールだからです。法律で定められてるから。窃盗になるからお金を払わなきゃいけないんですよね?
バイク屋さんがある、無断でバイクを乗っていったら? 捕まります。法律だから、決められてるから、当たり前なんです。
法律がなければ、ルールがなければ、人々は好き勝手な事をする。このルールがなければ? みんな好きな事をやったら? むちゃくちゃになってしまいますよね。
だから、法律というものを使って、市民の皆さんを制限するという考え方。皆さん、この国に生きる市民の皆さんは守らなきゃいけない、それが法律。縛られてるんですね。
じゃあ、国家権力はどうだ? 権力はどうなんだ? 権力を縛る、そんなルールも存在している。
それが、憲法。
権力の暴走を許さない。ブレーキをかける。皆さんの人権と自由を守る為に、憲法が権力者にブレーキをかけている。それが憲法らしいんですね。

Photo by 伊藤愛輔
じゃあ、憲法がなかったらどうなる? 王様みたいな権力者が暴走したとしたら、どうなりますか? 「明日から庶民に対して重い税金を掛けます」これも可能になるんですよ。
当たり前です、それぐらいの力を持っているのが国家権力。だから、憲法というルールを使ってブレーキをかける。
他には、「明日から徴兵制を導入します。16歳以上の男子、女子共に軍隊に入ってもらう」権力が暴走すればそのようなことも、可能になってしまうんですよね。
そのような、とてつもない力を持った国家権力に対して、ブレーキをかける、縛りをつけるというのが、憲法。
皆さんの自由と人権を守るのが、憲法。
ここぐらいまでは皆さん、学校の授業で習って、うっすら覚えてる方もいらっしゃるかもしれない。「うん、そこまではなんとなくわかる」「俺も知ってる」そういう方も多いかもしれない。
「でもね、人権っていうのがイマイチよく分かんないんだよね」っていう方もいらっしゃるかもしれない。言葉にはよく出ますよね? 「人権を守れ」「権利を守れ」
じゃあ、その人権ってなんなのか? ってことを、ざっくり説明させてください。
好きな歌を歌う、好きな服を着る、自分の信じた宗教を信じる、自分の愛した相手と結婚する、自分の思ったことを口に出す。
人間としての尊厳を守る為に、生きていく為に必要なもの。今、言ったもの全部、人権ですよ。これを人権という特別な言い方をして、守り続けてきた。
憲法は、皆さんの自由とそして人権を守る為の、この国の最高法規。一番力を持つ法律なんだ、ということですね。
もうそんなこと、皆さんご存じだと思いますけれども。1人でも、私のように知らない人間がいたらいけないので、お伝えしました。
今、画面の中にあります、三角形。ピラミッドですね。この国の法体系。この国の法律がどのような順番であるのかというものを表したものです。
1番上が憲法。
真ん中が、条約・協定。
1番下にあるのが、国内法。皆さんを縛る法律は、1番下なんですね。
で、権力者に守らせなきゃいけない憲法というのは、この国のトップなんです。最高法規。このルールは、今、日本国憲法の中にも書かれている。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。(日本国憲法)
日本国憲法第98条、現行憲法にはこのように書かれている、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」
いったい何を言っているのか? 「わかってるか? 権力者たち、この憲法はこの国の最高上位にある法律なんだぜ、最高法規なんだよ。これに反するような法律、そして命令、政治的な行動、このようなものは、すべてもしくはその一部は、効力を有しない。意味なんてないぞ」っていうことを書いてあるわけなんです。
だから、「憲法に反しない法律を作れ」ということを、ここで言ってるわけなんですよね。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(日本国憲法)
日本国憲法第99条、「天皇又は摂政」天皇の代理ですか。「及び国務大臣、国会議員、裁判官、その他公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」
絶対守らなきゃいけないんですよ。この国に存在する、権力を持つ者。公務員、国会議員、大臣、総理大臣、みんなこの憲法からはみ出すことは許されない。
憲法の中で与えられた権限しか、それを行使することが出来ないんですよ。素晴らしいじゃないですか。これ権力者の暴走を止められますよね? 普通で考えれば。
じゃあ待ってください。今の政治は、今ある憲法をちゃんと尊重しているか? 順守しているか? ってことを、皆さんの頭の中で考えて頂きたい。
私、参議院議員山本太郎が憲法の条文の中でいくつか好きな文章があります。好きな条文があります。その中のひとつ、憲法25条。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(日本国憲法)
一体何を言ってるか? って事なんですけどね、この国に生きる人々、まぁ国民はですよね、健康的で文化的な最低限の暮らしを保障されてるってことなんです。
皆さんどうですか? 健康的、そして文化的、最低限の暮らしをおくれてるって方、どれぐらいいらっしゃいますか? 働いても働いても豊かにならないっていうような現実が無いですか?
年収200万円以下、ワーキングプア。このような人達、安倍政権になってから1100万人を超えている。長時間労働、低賃金、非正規社員は4割。貯金0世帯、30%を超えている。
今、生きるだけで精一杯。フルタイムで働いたって12万、13万。それでどうやって家賃払うんだ? って。食費、光熱費、通信費、何も残らないじゃないか。
やっと今月乗り切ったって事を毎月、毎月実践してる様な。一体、何の為に自分が存在してるかもわからない、半年後の自分、1年後の自分も想像出来ない様な暮らしを、ずっと強いられているような人達が多数いる。
この国の貧困、かなり深刻です。
6人に1人が貧困。
単身女性20~64歳まで、3人に1人が貧困。
高齢者、5人に1人が貧困。
障害者、4人に1人が貧困。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(日本国憲法)
「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
完全に今の政治は、安倍政権に限らず、憲法違反状態じゃないですか?
財政が圧迫されてるから? いや、違う、大企業は過去最高益を上げてる。企業の内部留保。企業が諸経費全部、人件費も払った、そして株主に対するお金も支払い終わった、純粋な利益だけで377兆円も上がってるんですよ。
安倍政権になってから4年間で90兆円以上増えてる。企業は儲かってる、大企業は。
でも、それが税金として取って、みんなには分配はしていない。そして労働力として皆さんはどんどん安い賃金で働かされている。明らかに憲法25条違反じゃないですか。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。(日本国憲法)
98条、「この国の最高法規である憲法」ということを謳い、そして、「それに反するような法律は作ってはならない」といっている。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。(日本国憲法)
そして憲法99条。これは、「権力者は皆、憲法を守れ、尊重しろ、擁護しろ」といっている。
それさえも守っていないばかりか、今ある憲法、あなたの生存権、あなたが生きる為に守られるはずの憲法さえも、もう放棄されてしまっているような状況にある。
その政治を行っている者達が、この先、憲法を変えようとしている。
どんな世の中になる? 一体どのように変えようとしているのか、順番に法令を見ていきたい。
その前にちょっとだけ読ませてもらえますか? 憲法25条違反、今の政治が生存権を脅かす事によって、要は生活弱者に対してどんどんコストダウン、それらをコストとみなして削減していく事によって、こんな悲劇が全国で毎日のように、今、行われているっていう事を、2014年9月に起こった事件から、少しご紹介したいと思います。
これはですね、貧困であって労働問題に取り組んでる、雨宮処凛さんって方のブログを勝手に今読み上げるんですけど。雨宮さんすみません、事後承諾みたいな形で。
「事故が起きたのは14年9月。千葉県銚子の県営住宅。44歳の母親が、中学2年生の娘を殺害。母親はシングルマザー。給食センターで働いてたものの、月収は14万ほど。生活は苦しく、事件の2年前からは娘の制服代などの購入の為に、闇金にも手を出していた。
一方、各種の支払いも滞っていた。健康保険料は未納。保険証は使えない状態。12800円の家賃は、2年以上滞納が続いていた。娘を殺したのは家賃滞納が原因で、県営住宅の明け渡し強制執行が行われるその日だった。執行官が足を踏み入れた時、母親は放心状態。すでに息絶えた娘の頭を、撫でていたという。
居間のテレビには、その4日前に開催された娘の運動会の映像が流れていた。母親はその日、娘が運動会で使っていた赤いハチマキで首を絞めたのだった。
母親は、本当は自分が一人で自殺するつもりだった。しかし、様子がおかしい母親を心配して、娘が学校を休んだことから、事件が起きてしまった。」
これ誰の責任!? 母親の責任!?
「自己責任で生きろ!」それが今、この世の中になっている。
国会の中で山本太郎がいくら質問をしたとしても、貧困の事、奨学金の事、労働問題の事、「自助自立」という言葉が聞こえてくる。「自分の足で立て」「自己責任だ」って。
自己責任を強要するような国であるならば、税金を払う価値があるか? って。支えあいの世の中が国というものを作るんだろ? って。どう税金を取って分配するか考えるのが国なんだろ? って。
自分たちの既得権益。選挙の時にお世話になった大企業。企業献金をくれる大企業に、税金を横流し。そしてそこで働く人々、その人たちの賃金を極力安くする為のような施策を次々に挙げていく。
憲法25条違反だけじゃない! 13条も! ありとあらゆる憲法に違反している今のような政治が、この先、憲法を変えていくという状況を作るならば、ろくなもんじゃないですよ!
話し戻ります、時間がありません。
では、この現行、今ある日本国憲法、今、憲法を変えたいという人たちが、どのように変えるつもりなのか? というのを、今から足早に見てきたいと思います。
自民党が、自民党改正草案、改憲草案というものを作った。「自民党が憲法変えるんだったらこんな感じね」ってものを出したんです。それを見ていきたいと思います。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。(日本国憲法)
これは、現行憲法です。表現の自由。
どういうことが書かれているか? 「集会、結社、および言論、出版、その他一切、一切の表現の自由はこれを保証する」
素晴らしいじゃないですか。
「2項、検閲はこれをしてはならない。通信の秘密はこれを侵してはならない」
これざっくり喋り言葉にするとこんな感じ、「なに? みんなで集まりたいんですか? どうぞ集まってください。なに? グループ作りたい? 作ってくださって結構ですよ。あなたの好きなことを言ってもいい。そして、ものを書きたい人は書いて出版してもいいよ。とにかくその他一切の表現の自由は保証します」っていう事を言ってるんです。素晴らしいじゃないですか。そう思いません?
2項はですね、「とにかく表現の自由って言ってるんだから、それを予めチェックするとかっていうような権力の介入なしだよ」って。「通信、メールとか電話とか、あと、手紙の内容見るとかっていうのも無しね」って事が書かれてる。
この中で注目したい。この中で注目したいのが、1項からの流れを注目したいんです。今、皆さんご覧頂いたのが、現行憲法。今ある憲法です。
第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。(日本国憲法改正草案(現行憲法対照)自由民主党 平成24年4月27日(決定))
これ、今の現行憲法と内容全く同じです。
「集会、結社、および言論、出版、その他一切の表現の自由はこれを保証する」
「あれ? 自民党改憲草案でも内容は一緒? じゃあ大丈夫じゃないか」っていう話になりそうなんですけども、この後なんですよ、新しいのをぶち込んできたんです、新しい2項はこれ。
第二十一条 2
前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。(日本国憲法改正草案(現行憲法対照)自由民主党 平成24年4月27日(決定))
「前項の規定にかかわらず」
これ凄くないですか? 前項の規定に関わらないんですよ? 要は、「あなたに表現の自由を一切与える」と言っておいた1項をひっくり返す文言が2項に入ってる。前項の規定に関わらないんですって。ちゃぶ台返しっていうんです、こういうの。
で、ちゃぶ台返し、前項の規定に関わらず何なんですか?
「公益、および公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的とした結社をすることは認められない」
この赤線を引いた部分が肝。「前項の規定に関わらず」こんな言葉がついてるのがとんでもないですよね?
で、どういうことか? 「公益、公の秩序」って何ですか? 「公益」ってなんですか? 「公の秩序」って何ですか? 誰が決めるんですか?
決めるのは、権力を持った側が決めるんですよ。
「これは公益です。公の秩序を乱すな」それを決めるのは誰? 判断基準、誰が采配する? 権力を持った方が采配する。
権力側が采配したら、前項の規定に関わらず、表現の自由は奪われるんですよ。より制限されてしまう。
じゃあ、どのようなことを、「公益」どのようなことを、「公の秩序」と権力側は捉えているのか? 国家権力側が捉えているのか? っていう事を、普段からの行動を見ればわかります。次お願いします。
皆さん法務省ってご存知ですよね? 法務省。法務省に外局ってものが存在しています。公安調査庁っていうものがあるんです。
一体なにをやってるんですか? そのお仕事は?
「破防法(破壊活動防止法)に基づき、暴力主義的破壊活動を行い、将来もその恐れがある団体の調査を担当してる」と。
ほう、暴力主義的破壊活動、それ良くないですよね? 暴力主義的破壊活動。じゃあ一体この公安調査庁はどのような人たちをマークしているのか? っていう事を見ていきたい。
『日本ペンクラブ』
『日本ジャーナリスト会議』
暴力主義的破壊行為行いますか? これ。日本ペンクラブが、日本ジャーナリスト会議が、どうしてこの人たちがマークされなきゃいけないんですか? 調査対象にならなきゃいけないんですか?
続いて。
『アムネスティ・インターナショナル』これ人権団体ですよ?
『生活協同組合』これコープですよ?
続いて。
『情報公開を求める市民運動』どんな情報を請求しても黒塗りばっかり、だからこれを、「公開しろ」と請求する人たち。
他にも『青年法律家協会』
他には?
『全国公害患者の会連同会』公害患者ですよ? 被害者側ですよ?
不都合な情報を出す者たちをマークし続けて、「これは公益、公の秩序を乱す」という判断をして、マークし調査し続けてるって事なんですよ。
他にも『核兵器廃絶を訴える団体』
暴力的破壊行為ですか? 違います、暴力的破壊行為を止めようとする人々を逆に調査しマークし続けてるって事が、もう何年も前から行われてるって事なんです。あまりにもあり得なくないですか?
とにかくもうすでに監視社会。1人1人を監視していくばかりか、お互いに監視させる。警察国家、監視国家への道のりは始まっています。
例えば、マイナンバーカード。皆さん、お持ちの方もいらっしゃいますよね? 「これは、いろんなもの銀行口座だったり健康情報と紐付く便利なカードです」と言われている。
とんでもない。本当の狙いは何ですか?
あなたの個人情報ですよ。個人情報の本丸、あなたのDNA情報に至るまで、すべて国家が集約し管理し、監視するという事が目的。嘘のような話。
でも、イギリスでは、これが行われようとした。
書いてある通りです。一度『国民ID制度』というものが作られた。生体認証パスポート。この中に虹彩、瞳ですよね。指紋、静脈いろんな個人情報を集約しようとした。でも、国民が立ち上がって、これをひっくり返したんですよ。
で、マイナンバーの中に書かれている。私、マイナンバー法案審議の委員会にいましたから。そこで、本物のそのマイナンバーの条文の中ではない、外の条文、まあ言ってみれば『付帯決議』ってものがあるんですけども、その中にしっかり書かれている。
「個人番号カードの公的個人認証機能の利用時における本人認証方法について、声帯認証の導入を含め」
ここなんですよ、本丸は。
これからますますそうなっていく、もうやりたいことは法律でバンバンやっていってるんです。外堀は埋められている。
そして今、一番最大の、皆さんを守る為の一番大きなルール、憲法を、自分たちを縛るものでなく皆さんを縛れるような形にしていこうとしている。
その中の憲法21条、表現の自由。自由な表現いろんな情報の流通は民主主義の大原則。健康な血液のように情報が回っていくことによって、健康な民主主義が維持できるという考え。
けれどもこれを、前項の規定に関わらずひっくり返せる。前項の規定に関わらずひっくり返せる内容はなんだ? 「公益、公の秩序に反するものだ」ってことなんです。公、公の秩序。公益、これを決定するのは誰? 権力を持つ者。

Photo by 伊藤愛輔
ごめんなさい。この後、この秋やってくる『共謀罪』についてお話ししたかったんですけれども、時間がたりなかった。タイムアップです。
(三宅洋平 : 太郎君、あと5分いける!)
5分くれる? 三宅洋平が5分くれたー! ありがとう! 愛してるぜ!(笑) ここを今から話したかったんです、本当は。すいません、急ぎいきたいと思います。
「共謀罪」って今、山本太郎が言いました。一言で言うとなんですか?
相談すると、罪になります。
どんどんいきます。
これ小泉政権時代、2004年、5年、6年。3回、この共謀罪が提出されている、国会に。でもすべて廃案にされている。次。
これね、それだけやばい法案だって事がわかってたから、廃案にできたんですよ、昔。10年以上前。
だから、「これ名前変えようぜ」って事になっているんです。
「共謀罪」って言ったら、「あ、あのやばいやつや!」って記憶がある人が多い。「だから、これ名前変えよう、看板を付け替えよう、テロ対策って事にしちまおうぜ」って話なんです。
その名前が『テロ等組織犯罪準備罪』テロ準備罪。この名前だけでも、導入しなきゃいけないような気分にならないですか? テロを未然に防ぐとなったら、「これ必要だろ」って話になるんですよ。次。
とにかくですね、看板を付け替える。以前出してたヤバい法案が廃案が続いて、それからちょっとタイムラグがあった後、もう1度出すときに、「看板を付け替えますよ」っていう、この看板の付け替えは自民党のお家芸でなんですよ。
例えば『特定秘密保護法』っていうのがありますよね?
特定秘密保護法。都合の悪いことを片っ端からベールに包める法案が、もう通ってしまっている。これは以前『秘密保全法』という名前だった。でも、その悪名高き秘密保全法は知れ渡っている。故に、看板を付け替える。
特定秘密保護法。特定? 特定なんてされてないよ。大臣だったり、その機密指定をできる人たちが、なんでも指定できちゃうんだから。片っ端から秘密にできるような法律になっちゃっているんです。
そして、今回もこの共謀罪が、テロ等組織犯罪準備罪。テロ準備罪という名前で、国会に登場してくるというお話。
相談すると罪ということは、どういうことなんでしょうか?
「2人以上の者が犯罪を行うことを話し合った、そして合意した」これを処罰の対象にするっていうんです。
まあそれだけ聞いたら、「まあ処罰されてもしょうがないかな」ってばっくり思っちゃうかもしれない。
とにかくですね、具体的な行為がないんですよ。話し合いだけだから。「ムカつくな、あいつ。殴ってやろうぜ!」「おう、そうやな、殴ってやろう!」話し合い、合意ですよね?
でも、その段階では誰も被害者いません。実行されてないから。でも、この時点でもう犯罪になっちゃうっていう、とんでもない法案なんです。
つまり、被害者がいないのに取り締まられてしまう。
相談しただけ。そして実行されず。被害者なし。でも、犯罪にされるって無茶苦茶だと思いません? かなり無茶苦茶な話なんです。
「だけどね、皆さん、これテロ準備罪ですからね」って。「ああ、テロかぁ、凶悪犯罪に限定するんだなぁ」っていうような雰囲気はするけれども、中身は違う。
懲役4年以上。懲役4年以上の懲役刑、禁固刑を定める罪を対象とします。
懲役4年以上の禁固刑、懲役刑につながるような犯罪って山ほどあるんですよ、皆さん。
例えば、窃盗。
その言葉だけ聞くと、「まあ窃盗は罪だ」そう思うでしょう。10年以下ですね、懲役がね。で、50万円以下の罰金。
でも、これには万引きも含まれるんですよ。
万引きも含まれる。懲役4年以上の刑法に関してすべて含まれてしまう。っていうことは、窃盗というだけで10年以下の犯罪になるわけだから、これも含まれる。っていうことは、そこの窃盗って幅広いから、万引きも含まれてしまう。片っ端からやれるっていう話なんですよ。
例えば、詐欺罪。
詐欺罪もこれ、10年以下の懲役ですから。4年以上に該当するわけですよね? じゃあ、詐欺ってどんなものがありますか? オレオレ詐欺とかいろんな詐欺があるけれども、もっと底辺の詐欺ってどんなものがある?
キセル、「すいません、無賃乗車してしまいました」とか。「ごめんなさい、釣銭を100円誤魔化してしまいました」っていう釣銭詐欺。こんなのものまで含まれてしまうっていうことなんですね。
もちろん、キセルも釣銭詐欺も犯罪。でも、このテロ準備罪とされようとしているものとは、また、色合いが全く違いますよね? でも、全部含んでしまうんだっていう話なんです。
他にも、道路交通法、水道法、公職選挙法などなど、それ数えていったらどれぐらいになるか?
600を超える。
これ、2003年とか4年とか5年とか6年の話ですよ。それ以降に犯罪は重罰化されています。
例えば、壁に落書きをする。これは司法的にはなかなか判断下せないような軽い犯罪だったものが、懲役1年4か月になったり、執行猶予3年、どうしてか? 書いた文字がヤバかった、「戦争反対」
どんどんどんどんそんな風に、簡単に捕まえられる。相談しただけでアウト。だってさ酒場でさ、ふざけて話してていろんな冗談言うじゃないですか? そんなことさえも、許されないような緊張感が生まれていく。そういう危険性がある。
でね、「被害者がいない」と言った。「被害者がいなくても、相談しただけで被害者がいなくても罪になる」と言った。
「でも、凶悪犯罪の場合は、その相談だけでも、準備をしただけでも、捕まえられるべきだ」と、皆さん思いでしょ? もう既にそんな法律は存在している。
例えば、殺人、強盗、放火。他にも、殺人、強盗、放火について、そういう凶悪犯罪については、予備段階、相談段階から裁けるような、今、既に存在している法律がある。
他にも、「爆弾を作ります、爆弾を作ってやろうぜ」ってことに関しては、もうこれは、ね、共謀段階。相談段階から、殺人、強盗、放火などの凶悪犯罪に関しては、準備、包丁買う、ロープを買うとかっていう段階で、罪になるような法律が設定されている。
そして、放火に関しては、相談っていう段階で捕まえられるように、もうなっているんですよ。もうあるじゃないか法律がって。
でも、新たにその範囲を広げて、網の目を広げて、一気にそれをやろうとしている。
現行法で取り締まられる法律があるのにも関わらず、それを無視して、無いような振りをしながら、隅々まで好き勝手に恣意的(しいてき)な判断ができるような結末を迎える可能性が高い。
共謀罪という名前から、テロ等組織犯罪準備罪、テロ準備罪になります。こんなもの通ったらどうなる?
じゃあ、その話し合い、どうやって捕まえるんですか? って。友達と話しただけで、じゃあ証拠はどこにあるんですか? っていったら、その話し合ってるときの言葉ですよね。
じゃあ、その言葉を証拠として押さえる為にはどうしますか?
盗聴するんですよ、盗撮するんですよ、尾行するんですよ。そんなことが行われるような日常に生きていたいか? ってことですよね。
中学生の万引き、友達同士の万引きでも、実はその狙いは親かもしれない、その親戚かもしれない。人間は1人では生きてないから繋がっていますから。いろんな形で、テロという名の元に、このような皆さんの自由を制限するとんでもない悪法が、今、準備されている。
相談しただけで罪。国会では以前、3回も廃案になった。このようなものが、名前を変え、そしてオリンピックが来るということに合わせて、テロ関連法案として提出される。
山本太郎は、テロ関連法案に何度か反対した事があります。国会議員の中で1人だけ。その時になんて言われると思います? テロ関連法案に反対したってことは、「あいつはテロリストだ」っていう話になるんです。
でも、違う。テロリストと認定するのは権力側。じゃあその権力を持った人間がテロリストのような人間だったら、それに捕まえられるのは無辜(むこ)の市民である確率が高いってことなんです。
そのような危険性、恣意的運用の危険性があるならば、そこにブレーキをかける、反対するっていうのは当たり前のことなんですけど、もう大政翼賛状態ですよ。
あまりにもあり得ない。そんな法律が山程通っているっていう状況なんです。
力を貸してほしい。あなたにしか救えないんですよ、この国は。
今、あなたの生活が精いっぱいだ。自分自身が生きるだけで精いっぱいだ。そういう方もいらっしゃる。
でも、あなたのその暮らしを、変えられるのが政治。決して絶望して頂きたくない。
あなたと、あなたの周りにいる人たちと、今、この国がどの方向に向かっているのか、そして、この憲法がどのように変えられているのか、そういう事を話すきっかけを作って頂きたいんです。力を貸していただきたい。
国会の最前線でいつも震えてますよ。あまりにもひどいことが日常的に行われている。次来るのはそれだけじゃない、憲法違反のTPP、原発再稼働、数え上げたらきりがない。
みんなの力で止めるしかないんです。力を貸してください。
山本太郎からの憲法フェスのトップバッターとしてのトークでした。ありがとうございました。
山本太郎のトークの為に、三宅洋平自身が自分の時間を削り、喋らせてくれました。続きまして、三宅洋平の登場です。
こちらも併せてご覧ください
【テキスト版】憲法フェス 東京 第一部 街頭演説(2/3) 三宅洋平 2016.9.9 新宿小田急西口駅前