
前編に引き続き、葛飾区金町をぶらり歩きながら空間線量マップを作りつつ、線量の高い場所を見つけていきます。途中、実験的に「原発事故の後に作られた公園」を測定してみました。事故前から存在する公園とどう違うか、ぜひご覧ください。
NAU放射線測定プロジェクト「測りまくる日本」の過去投稿はこちら
葛飾区金町の放射線マップ
以下はホットスポット・ファインダーを用いて測定した空間線量マップです。
※NAUは子供やペットの生活空間を考慮して、地表50cmでの空間線量を測定しています。また、高線量を示した場所や特徴的な場所では、地表50cmまたは直置きでの平均値を取得し、画面キャプチャをマップ上に掲載してあります。
※GPSの誤差によって実際の計測箇所とマップ上の位置に多少の差異が発生することがあります。
放射性物質はこういうところに溜まりやすい
注目して頂きたいのは「どんなところに放射性物質が溜まりやすいのか?」ということ。地形や、建物の構造などが影響して、放射性物質が蓄積することを「環境濃縮」と言います。例えばこんな雨どい。駐輪場の屋根に降った雨水が流れ落ちてくるところです。
私有地なので地表の測定は出来ませんが、こうやって離した地点でも0.23μSv/h。
「私有地なので」と書きました。実はここにも問題が含まれています。地域で行われている放射線測定や、除染活動は基本的に公共の場所を対象としています。
私有地のオーナーさんが放射性物質のことを気にしていない方だったりすると、高い線量のまま放置されている可能性も高い。小さな子供が入ってしまいそうな私有地の代表は、駐車場や駐輪場、空き地など。汚染の強かった地域で、身近に思い当たる場所がある方はご注意ください。
線路沿いの工場壁沿いを測定
金町駅北口の線路沿い。大きな工場の壁の足元から高い線量が何箇所か計測されました。
線量計PM1703MO-1で2.44μSv/h (直置き)
壁に割れ目がある部分、特に線量が高い。工場の雨どいから流れた雨水がここに溜まりやすかったのでしょうか。
ホットスポット・ファインダー直置きでの平均値は1.634μSv/hでした。
線路沿いの倉庫のふもとを測定
先ほどの工場の近くにあったレンガの倉庫。こちらも雨どいが垂れていて、濃縮の予感。
雨どいの下では、やはり反応がありました。
線量計PM1703MO-1で1.41μSv/h (直置き)
ホットスポット・ファインダー直置きでの平均値は1.153μSv/hでした。
原発事故の後に作られた公園はどうなのか?
次は原発事故後の2013年4月に出来たこちらの公園。東京理科大学のキャンパスとつながる「葛飾にいじゅくみらい公園」の敷地内を測定してみます。
測定隊がぞろぞろと公園を練り歩き。ホットスポット・ファインダーは今回の測定で最も低い0.03〜0.05μSv/h(地表50cm)を示していました。(※上記線量MAPをご確認ください)
手元に持っていた線量計DC-100も、ずっとこんな感じの低数値。
子どもたちが元気いっぱい遊んでいるこの公園。安心して遊ばせてあげられる場所です。
最後に、事故前から存在する公園の数値をご覧いただきたいと思います。
最後に、原発事故前からあった公園を測定
「東金四丁目平成公園」
ホットスポット・ファインダーでの地表50cmの空間線量測定、先ほどの0.03〜0.05μSv/hに比べ、こちらは0.08〜0.11μSv/hを示していました。(※上記線量MAPをご確認ください)環境濃縮しやすそうなポイントを探っていきます。排水口の際は線量計PM1703MO-1で0.14μSv/h (直置き)
芝生の端、線量計PM1703MO-1で0.19μSv/h (直置き)。
ホットスポットと呼べるほど高くはないが、決して低いとはいえない場所が、このように点在しています。
この公園で最も高いスポットはベンチ下で発見されました。
線量計PM1703MO-1で0.70μSv/h (直置き)
ホットスポット・ファインダーでの平均値は地表50cmで0.233μSv/h、直置きで0.643μSv/hでした。遊具やベンチ下は公園の中でも注意すべきポイントです。
こうしてNAUとしての2回目の放射線測定を終了しました。
次回レポートは、渋谷区内の公園の空間線量と、NAU単独では初の「土壌測定」を行いましたのでその結果をお知らせいたします。区内2つの公園の土壌測定をするために、区の公園課に届出書を提出し、計9点の土壌を採取しました。身の回りの公園を、きちんと許可を得た上で測定するための過程をレポートします。
お知らせ「放射能測定を学ぶ会【初級編】」4.23(日)開催!
NAU「測りまくる日本」をはじめ、千葉県松戸市議会議CANさんは八百屋さんの店主でありながら、福島原子力
CANさんの経験に裏打ちされたお話は必聴です!ぜひ皆
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補足「測定器 DC-100」の利用注意点について
車中泊しながら全国を測りまくる「消えない夜」さんの解説を使わせて頂きながら、測定器 DC-100の利用にあたっての注意点を以下掲載いたします。(※ご本人に許可を頂きました。)
- HSF(ホットスポット・ファインダー)と違いセンサーが小さいので、瞬時値を測れる測定器では無く、およそ2分間で平均値を取っている。線量値を見るときは必ず静止して2分後の値をみること。(歩きながらは測れない。)
- ホットスポットを探す場合は基本的にはクリック音を使うと良い。 クリック音を確認しながら、濃縮しやすそうな場所に測定器を近づけるとクリック音の数が急激に増える。そうしたらその場で一度電源を切り、再度電源を入れ直して2分静止して待つと値が安定するのでその値を読む。
- スマホやWi-Fiルーターを近づけない。夏場は熱暴走に気をつける。落下などの衝撃は避ける。キャスをする場合はスマホ等を3G通信にして、できるだけ測定器には近づけない。
- 部屋の中、それから、車の車内では使えない。ほぼ真下からしか線量を拾ってないので、屋内・車内では低く線量が出過ぎるため。